興奮のためか、目に涙がにじむ。

東郷先輩は、それに気付いていた?

つと立ち上がると、階段を軽い足取りで駆け降り、振り返る。


「悩んでるより、行動しちゃえば?」

「え……?」

「エッチしちゃえば、こんなことどーでもよくなっちゃうかもよ」

「は……」


いつもの東郷先輩に、戻ったのかと思った。

けれど、いつもの気の抜けたような笑顔は見せず、その目は真剣で、


「もし、彼氏が“初めて”じゃなくて、自分が“初めて”なのが嫌だったらさ」


あたしの視線を、捉えて、離さない。


「前にも言ったよね。伊田ちゃんの“初めて”は、俺がもらうよ」