「過去と他人は変えられないよ」
先輩が、ぽつりと言う。
「辛いかもしれないけど、受け入れるしかないよ」
「先輩、大人です……」
あたしは薄く笑った。
それが思いのほか痛々しくて、再び苦笑する。
「もっと早く、雄平のことを好きになりたかった。そしたら、雄平の一番になれたのに」
そう、これが正直な気持ちだ。
あたしにとって雄平が唯一であるように、雄平にとってあたしが唯一であってほしいと願ってしまう。
上を向いているせいで、目尻に薄く涙がたまる。
「伊田ちゃん、それじゃあ何の解決にもならないよ」
思いがけない言葉に、あたしは先輩の方を向いた。
先輩はまだ、天井の光を見ていた。



