「あ、ついに初エッチしちゃったんだ?」
あたしは首を横に振り、うつむく。
それだけで先輩は察してくれた。
「浮気されたわけでは、なさそうだね」
確かめるようにそう言って、東郷先輩は腕組みして前を見据えていた。
「本音は、許せないって思ってる、でも、付き合う前のことをとやかく言う資格はない……ってとこかな」
「気持ち、わかりますか?」
あまりに的確に突かれたから、聞いてみる。
東郷先輩にだって、初恋があったわけで、妬いたりしたことだってあるはずだ。
でもやっぱり、東郷先輩はどこまでも東郷先輩で、
「全然」
そう言って、天井を仰いだ。
あたしもそれに習う。
ジグザグになって延びている階段の一番上の小窓から、光が差し込んでいた。
なんだかそれが、幻想的に見えた。



