小さい子達が走りまわってるなか、一人だけ仲間に入れない子がいて。
その子が近くの木の陰にしゃがみ込んでいるのが目に入った。
寂しそうに、悲しそうに。
わたしもそうだったな
小さい頃、なかなか友達の輪に入れなくて寂しい思いをしたっけ。
女の子の前に、一人の男の子と先生がやってきた。
何を話しているかは分からないけれど、先生の言葉に女の子の顔が少しずつ
嬉しそうになるのか分かる。
そして、男の子と女の子は手を繋いで教室へと戻って行った。
「わたしはさ、やっぱり大和さんが好き」
きっとチエは何を突然言い出すんだと、思ってると思う。
だけど、今の男の子の姿を見て思ったんだ。
いつだってわたしの手を引いてくれたのは大和さんで。
その手にわたしはいつも救われていたんだ。


