「だからお前じゃないっつーの!」


チエとのやり取りも今は安心して見てられる。


もう一度笑顔を見せてから


「ほなな!」


前を向いて歩き出した。


修平くんの背中を見送ったわたしとチエ。


「これで本当に良かったんだよね?」


「どうだろ、でも」



後ろ姿を見ながら先ほどの事をどうしても思い出してしまう。


「わたし達が出来る事は何もないよ。本人もあぁ言ってたんだしさ」


「うん」


改札を通った修平くんの姿がもうすぐ見えなくなろうとした、その時だった。


「修平っ!」



後ろからかけた声の人はわたし達をすぐに追い越し、改札の手すりに掴まって叫び続ける。


「し、修平、修平、修平っ!」


階段を上っていた修平くんの足が止まってゆっくり振り返った。