「何でもないよっ、ごめん眠たいから」


眠たい、なんて嘘までついて。


お母さんを心配させて。


わたし、ちっとも大人になれない。


チエは?チエはどんな事を思ったんだろう?

大雅さんに嫌われたくないって言ってた。


関係が壊れるのが、怖いって。


あ、そうか。


それはわたしも同じだったんだ。



わたしも怖い。


言って、大和さんに嫌われるのが。


逃げてるのはわたしも一緒だったんだ。


それなのにあんな事を。


近くで携帯が震えている。

そっと手を伸ばして画面をタッチすると、チエからのメールと電話が何件も入っていた。