「…うん」
思わず笑顔で返事をすると、やっぱり頬をつねられる。だから、その癖は一体なんの愛情表現なの王子様。
純くんは照れたように顔を赤くして、「あと!」と言った。
「色葉が俺にして欲しいこと、ないの?てゆーか、あるだろ」
…して欲しい、こと。
私は少し下を向いて、考えるふりをした。
「…あるくせに。早く言えよ」
…もう純くんは、わかってるみたい。
私は目線を逸らして、「…だって」と唇を尖らせた。
「…だって、何?」
「……………」
…束縛されるの、嫌いなんじゃないのかな、とか。
思ったり…するけど。
…言ってみなきゃ始まらない、だよね。
私は目線を上に移すと、じっと純くんを見た。
おずおずと、口を開いて。
「…あ、あんまり、女の子と…その、ふたりで出かけたりとかは、しないで欲しい…」
「…さすがにそれは、お前と付き合ってからはしてねーよ…」
純くんの目は、明らかに違うだろ、と言っている。



