「…ご、ごめんなさい。昨日は、その、勝手にあんなことして…」
恐る恐る、上を向く。
純くんは、まっすぐ私を見ていた。
「…色葉はさぁ」
「…はい」
「…俺が、遊びで付き合ってるって、思ってたの?」
裕也くんと同じ質問に、今度は全力で首を横に振る。
「えっと、その、ちょっと違うというか!なんかこう、私の気持ちって、純くんにとっては重いのかなぁとか、ホラ、冗談通じないのは、その通りだし!」
あああ、もっと要約して言えないの、私!はっきりしろよお!!
なんて言ったらいいの、と混乱していると、純くんは静かに椅子から立ち上がって「まあ、俺も悪いよなあ」と言った。
私の前で、同じように正座して。
王子様は私をじっと、見つめた。
「…そう思われても仕方ないくらいには、俺も遊んでたしな。色葉にちゃんと、言ってなかったし」
どきどきどきと、心臓が音を立てる。
…ふたりだけの、空間。
ずっとそうだったはずなのに、こんなにも緊張すること、今まであったかな。
純くんは真剣に私を見つめて、話し始めた。



