「…やだぁ、純、ウケるんですけど。あたしお邪魔っぽいし、もうホームルーム始まるから、退散するね?」
そう女の子はニヤニヤ笑いながら言うと、バイバイと手を振って、二組の教室へ戻って行った。
そのとき、チャイムが鳴って。
「…場所、変えるか」
純くんが目を逸らしながら言うものだから、返事をする声が裏返ってしまった。
下の階にいるはずのミオに声をかけようと思って見たけれど、既に彼女の姿はなくて。
携帯に、『がんばれ』というメールが一通、届いていた。
*
それから私達は、先生の目を盗んでいつもの空き教室へ向かった。
別館からだったから、純くんの持つ鍵を使って中へ入った。
「………えっ、とぉ」
とりあえず、椅子に座る彼の前で、正座。
「…うん。何?」
ひぃ、怖い!
純くんはやっぱり不機嫌で、なんだか別の意味で泣きたくなる。



