「…行く」
そう言うと、私はばっと鞄からチョコの入った紙袋を取った。
「…えっ、今から?」
ぽかんとして、ミオが言う。
…あと十五分で、ホームルーム始まるけど。
けど!
「突撃しに行く!別館に行って来る!」
走って行けば、あっちまで五分もかからない!
すぐにでも走り出そうとすると、ミオが「あたしもいく!」と言ってくれた。
「…じゃあ俺も、戻ろうかな。ゆっくり」
カタン、と裕也くんも席を立つ。
「ありがとう、裕也くん!行ってきます!」
「いってらっしゃい」
ミオとふたりで裕也くんに手を振って、私達は別館へ走り出した。
「やっぱり裕也くん、すっごくいいひとだね!」
きっと裕也くんが話してくれなかったら、こうやって行動できてなかった。
そう言うと、ミオが得意げに「でしょ!」と言う。
それにふたりで笑いながら、階段を駆け下りた。



