…それに。
「私、純くんが本気になってくれるほど、すごい子じゃないもん。今までの子達と、性格が少し違うだけで…」
「ううん。純にとっては、色葉ちゃんはすごい子なんだよ」
「…嘘だぁぁ〜！なんにもないもん私〜！」
「ええっ、色葉ちゃん！？」
ハイハイ泣き止め泣き止め、とミオが頭を撫でてくれる。
…なんにもないもん、私。
ただの、意気地なしだよ。
裕也くんは苦笑いしながら、「あいつも馬鹿だなあ」と呟いて小さくため息をついた。
「…ちゃんと、理由もあるんだよ」
「え？」
目を見開くと、裕也くんはにっこり笑って「でも、これは俺からは言わない」と言う。
「知りたいんなら、色葉ちゃんが自分で訊きに行かなきゃ」
…自分、で。
今まで、私から周りに自分が純くんの彼女なんだって、伝えようとしたこと、あったかな。
いっつも、逃げてばっかだった。
…堂々としたいって、思ったじゃん。
もっともっと、強くなりたいって、思ってたじゃん。
せっかく裕也くんに色んなこと教えてもらったのに、これで私が勇気出さなかったら、意味ない。
