「そ、それ、水野くんが言ったの?」
「うん。一昨日のアレもだよ。まるで宣言してるみたいだって、思わなかった?」
…わざと、人目が集まるようなことをして。
自分の誕生日に、自分から私に一緒に帰ろうって言って。
「…『色葉が、不安になってる』って、言ってた。あいつ、自分が女子と仲良いの後悔してたよ。一昨日、なんかあいつに言ったの?」
…言った、私。
『チョコくれる子いっぱいいるよね』なんて、わがままなこと言った。
「…だからあんなこと、みんなの前で?」
「焦ったんだろうね。自分は今この子一筋なんだって、色葉ちゃんにも周りにも、早く言いたかったんだと思う」
…そんなの。
瞳に、じわじわ涙が溜まる。
声が、震える。
「…そんなの、知らないし……」
言ってくれなきゃ、わかんない。
察してあげられるほど、私、大人じゃない。



