眠り姫はひだまりで【番外編】



「…何。嫌?他の子のチョコもらうの」

「…そーゆーことじゃ、ない」

首を横に振ると、純くんはちょっと驚いたような顔をした。

「嫌じゃねえの?」

「…嫌じゃない。…わけないけどぉ。それは、あくまで私の気持ちだもん」

そう言うと、純くんは少し困ったような表情をした。

けれど、すぐに優しく目を細めて。


「…色葉といると、安心するな」


なんてこと、言うから。

ちょっとだけ、泣きたくなった。

強くいられなくて、純くんを疑っちゃう自分が、情けなくなった。

「……純くん、好き」

「俺も」

ぽつりと想いを呟けば、同じ想いが返ってくる。

それはすっごく奇跡なことなのに、どうして心から安心できないんだろう。

不安に、なっちゃうんだろう…






その日の放課後まで、少し前にミオから聞いたことをぼんやりと思い出していた。