「…何。嫌?他の子のチョコもらうの」
「…そーゆーことじゃ、ない」
首を横に振ると、純くんはちょっと驚いたような顔をした。
「嫌じゃねえの?」
「…嫌じゃない。…わけないけどぉ。それは、あくまで私の気持ちだもん」
そう言うと、純くんは少し困ったような表情をした。
けれど、すぐに優しく目を細めて。
「…色葉といると、安心するな」
なんてこと、言うから。
ちょっとだけ、泣きたくなった。
強くいられなくて、純くんを疑っちゃう自分が、情けなくなった。
「……純くん、好き」
「俺も」
ぽつりと想いを呟けば、同じ想いが返ってくる。
それはすっごく奇跡なことなのに、どうして心から安心できないんだろう。
不安に、なっちゃうんだろう…
*
その日の放課後まで、少し前にミオから聞いたことをぼんやりと思い出していた。



