「…いいの」
心配してくれてありがとう、と笑うと、ふたりは眉を下げながら「そっか」と言った。
「…でも、色葉の気持ちは、ちゃんと伝えるんだよ?」
「うん」
優しいな、ふたりとも。
私ももっと、余裕を持たなきゃ。
そう思いながらも、女の子たちに向けていた彼の優しい笑顔が、頭から離れなかった。
*
「なーに読んでんの」
その日の、昼休み。
結局昨日買っちゃった雑誌を読みながら、空き教室でお弁当を食べていた。
そしたら、後ろからそんな声とともに、すぱっと雑誌を奪い取られて。
「バレンタイン特集……『手作りチョコで彼のハートをGETしちゃお☆』……ぷっ」
「ちょっ、読み上げないでよぉ!しかも笑うなぁぁ!!」
純くんはぱらぱらとページをめくって、ニヤニヤニヤニヤ。



