眠り姫はひだまりで【番外編】



「…いいの」


心配してくれてありがとう、と笑うと、ふたりは眉を下げながら「そっか」と言った。

「…でも、色葉の気持ちは、ちゃんと伝えるんだよ?」

「うん」

優しいな、ふたりとも。

私ももっと、余裕を持たなきゃ。


そう思いながらも、女の子たちに向けていた彼の優しい笑顔が、頭から離れなかった。





「なーに読んでんの」


その日の、昼休み。

結局昨日買っちゃった雑誌を読みながら、空き教室でお弁当を食べていた。

そしたら、後ろからそんな声とともに、すぱっと雑誌を奪い取られて。


「バレンタイン特集……『手作りチョコで彼のハートをGETしちゃお☆』……ぷっ」

「ちょっ、読み上げないでよぉ!しかも笑うなぁぁ!!」


純くんはぱらぱらとページをめくって、ニヤニヤニヤニヤ。