…知りたいって、言ったのに。
前に、私の家で。
『純くんのこと、もっと知りたい』って、言ったのに。
私、まだ純くんのこと、全然知らないじゃん………
「……色葉」
ミオが、心配そうに私を見る。
「大丈夫」と言って誤魔化したけれど、これは最近の悩みのひとつだった。
…今更、私なんか純くんの彼女にふさわしくないんだ、なんてことは思わない。
そんなことを思う女の子こそ、純くんにふさわしくないと思うから。
…ただ、ただ。
もう少しだけ、自信が欲しい。
…もっと、もっと、純くんのことを知りたいんだ。
*
月曜日、ミオが裕也くんに用があると言うので、私もそれについていった。
別館は、相変わらず騒がしい。
堂々としているミオにくっついて、廊下を歩く。
すると、周りから「あっ」という女子の声がした。



