「…どしたの、いきなり。それなら、色葉もでしょー?」
ミオは眉を下げて、からかうように「学校の王子の彼女のくせに」なんて言ってきた。
…王子様の、彼女、かぁ………
「…私は………」
ぺらりと、ページをめくる。
可愛らしいモデルさんが、手作りお菓子を作っている。
…こんなに、可愛くない。
私は…こんなに自信を持って笑えるような、堂々とした魅力的な女の子じゃない。
自分に確かな自信を持っている女の子ほど、魅力的な子はいないと思う。
しっかり『自分』ってものを持っていて、強くて。
…王子様の彼女は、王子様のお姫様は……もっと、強くなきゃいけないんじゃないかな、って。
「…私……純くんのこと、なんにも知らないなぁ…」
誕生日も、裕也くんに教えてもらわなきゃ、きっとほんとに当日初めて知ることになっただろう。



