「え?」
「俺もなにもあげてないじゃん、色葉の誕生日。当日言って、お前におめでとうって言ってもらえれば、それでよかったんだけど」
そ、そりゃそうだけど…
私のときは、知らなくても仕方なかったっていうか。
付き合ってるのに彼氏の誕生日知らなかったことが、ちょっとものすごくショックだったというか…
むーんと唸った末、私は「じゃあ」と言った。
「…チョコレート、美味しいの作れるように、頑張るね」
純くんは少し驚いた顔をしたあと、とびきりのスマイルを見せてくれた。
「ん。期待してる」
…誕生日も兼ねての、バレンタイン。
これは、そりゃー張り切って作らないと、彼女としてだめですよね。
よし!と意気込んでいると、ミオが笑いながら「それにしてもさぁ」と笑った。
「バレンタインが誕生日なんて、思わなかったぁー。水野くんモテるから、誕生日にいっぱいチョコもらえて良いよね」
いっぱいプレゼントもらった気分になる、とミオが笑う。



