「なんで言ってくれなかったの馬鹿ぁーっ!!」
ミオが、まあまあと私をなだめる。
その隣で裕也くんが、面白そうに笑う。
…二組の人達が、驚いた顔で私達を見ている。
けれど、そんなことを気にするほどの余裕のない私は、目の前でうるさそうに目を細める純くんを睨んだ。
「…色葉、声でかい」
「でかくもなるよそりゃぁーっ!なんで誕生日って教えてくれなかったの!?私チョコのことしか考えてなかったよ!!」
ホント、びっくりしたんだから!
びっくりしすぎて、昨日の帰り道はなにひとつ喋れなかったし!
純くんが、私に誕生日のことを教えてくれた裕也くんを不満げにちらりと見る。
裕也くんはその視線に、「さすがに彼女が知らないのは可哀想でしょ」と笑った。
…なに、その会話。
まるで、誕生日を私に隠してたみたいだよ!?
「…プレゼントとか、私なにも考えられてないのに…」
フォークに刺したウインナーを、ぱくりと口に入れる。
純くんは私を見ながら、「それでいいんだよ」と言った。



