もし待っててくれたら、鉢合わせること間違いなしだ。
…裏門から、出るか……?
完全に逃げの方向へ思考が走りはじめたとき、廊下からその足音は聞こえた。
…誰かが、走ってくる。
パタパタというその音に、あたしと色葉は開けられた扉の近くを見つめた。
…そして。
「……っミオちゃん!」
…裕也くんが、息を切らして、あたしを呼んだのだ。
あたしが呆然と見つめるなか、扉のところで裕也くんは苦しそうに息を整える。
…あっちの校舎から、走って来てくれたの?
紙袋を持った彼は、おもむろにこちらへ歩いて来た。
残っているクラスメイトたちが、驚いたように裕也くんを見ている。
彼のまっすぐな視線を、あたしはそらすことができない。
「……な、んで……」
「…はい」
ガサ、と紙袋を差し出される。
…え?
走って来たからかそうじゃないのか、彼の顔は赤い。
そして、真っ直ぐにこっちを見ている。
…まるであのときのような、表情で。
震える手で紙袋を受け取り、あたしは中を見た。



