「…昨日のさ、ガトーショコラとか…美味しかったし、嬉しかったけど。どーしたのかなって」
「…あ、あれは、お礼で…」
「髪、とか。巻いてたでしょ。昨日と、金曜」
あたしは、目を見開いた。
…気付いて、たの?
じゃあ、なんで何も言ってくれなかったの?
「…そ、れは……」
「…あと、昨日の昼休み、六組で俺のこと話してたって、聞いたんだけど。…今日も、なんか元気ない、よね」
…昨日の、葉とのやりとりだ。
結構、大きな声で話してたのかな。誰か、聞いてたのかも。
あたしが半ば涙目だったから、心配して、裕也くんに言ってくれたのかな。
…でも。
「…え、っと………」
怖くて、裕也くんの顔が見れない。
もしかしたら、指の絆創膏も、気づかれたのかもしれない。
料理に不慣れだって、思われたのかもしれない。
…やだな、恥ずかしい。
いろんな感情がごちゃまぜになって、じわじわと涙が出てくる。



