「一緒に帰ろう」
*
それから、いつも通り他愛のない話をして歩いた。
どうして待ってたの、とか、何か話があるんじゃないの、とか。
訊きたいことがあったけれど、我慢して笑った。
そして突然、沈黙が下りた。
「……………」
話題がなくなって、しばらくの間静かになる。
…そんなこと、今まで何度もあったのに。
今のこの静けさに、あたしは緊張していた。
あたしだけなんだろうけど。
気まずいって、思った。
別に、何かあったわけじゃないのに。
絶対裕也くん、あたしのこと変だって思ってる。
なにか喋ろうと頭を働かせて、口を開いたとき。
「…ね、ミオちゃん」
ぱっと顔を上げると、優しくて、けれどどこか複雑そうな笑みが見えた。
「…最近、なんか、あった?」
…え?
あたしが驚いた顔をすると、裕也くんは優しく笑う。



