眠り姫はひだまりで【番外編】



「……どうかした?」

「…ううん、なんでもない」

けれどすぐに笑って、別の話題で話し始めようとする。

…なんか、笑顔がかたい。

どこか複雑そうな彼の表情に、お菓子を渡せて嬉しいはずのあたしの心まで、もやがかかった。






「あっ、ミオ!どーだった?」


教室に戻ると、色葉が明るい顔で駆け寄ってきた。

たぶん、無事にガトーショコラを渡せたのか、ってことだろう。

「…うん。美味しいって、言ってくれた」

「そっかぁ…!よかったねえ」

色葉の笑顔に、なんとなく暗くなってた気持ちが少しだけ晴れる。

…なんだろうな、この、すっきりしないかんじ。

喜んでくれた。

美味しいって言って、笑ってくれた。

…けど、なんか裕也くんの顔は、暗くって。

美味しくなかったとか、そういうことじゃないんだと思うけど。