「…色葉に、手伝ってもらったんだけどね。味見はしてるから、ちゃんと美味しいよ」
「…食べていい?」
「どっ、どうぞ!」
男の子特有の骨ばった綺麗な手が包みを開けるのを、あたしはドキドキしながら見つめた。
茶色いカップを剥がして、ぱくりと食べる。
すぐに笑顔になって、「美味しい」と言ってくれた。
「ありがと、ミオちゃん」
「ううん、全然…こないだ、野菜炒め作ってきてくれたでしょ?その、お礼だから」
なんとなく恥ずかしくて、目をそらす。
野菜炒めのお礼っていうのは嘘じゃないけど、もうちょっと可愛いこと言えないかしら、あたし。
あたしが悶々としている間に、裕也くんはガトーショコラを食べ終えた。
これで、ちょっとはふわふわ系女子に近づいたかな。
性懲りもなく今日も巻いてきた髪を触っていると、裕也くんがあたしを見て一瞬驚いた顔をした。



