「お願い!明日、あたしとお菓子を作って!」
色葉はドジだけど、母子家庭の長女だ。
料理はそれなりにできる。少なくともあたしよりは。
色葉は戸惑いながらも、了承してくれた。
髪の毛巻くっていうのは、残念ながら無反応だったけど。
見た目が駄目なら、女子力よ、女子力!
料理で裕也くんには勝てない。
なら、お菓子でいくわ!
それから土曜日、日曜日とお菓子作りに励んだ。
失敗も多かったけど、なんとか日曜日に出来のいいものが出来て…
「おいしい〜!」
小さなカップで焼いたガトーショコラ。
味見用のものを、色葉と食べる。
「ホント、おいしいねえ」
思わず、ふふふと笑い合った。
…ちょっと、信じられない。
このあたしが、まともな味のものを作れたなんて。
やっぱりうちの台所は、戦場と化しちゃったけど。
このあと、この荒地を片付けなきゃいけないんだけど。



