僕が町田さんへ向けていた、『あの頃の』色葉への、目を見て。
町田さんは、僕を強い目で見た。
じわじわと、涙を溜めていって。
「…あたしはっ…松本先輩のことを想ってる大和先輩を、好きになったんです。今更、なんともありません」
…じゃあ、なんでそんなに、苦しそうなんだよ。
髪まで切って、色葉と違う自分にして。
「…あんな風に、見てもらえたらって。あんなに強く、あたしのことも想ってくれたらって。思って…っ」
ごし、と、袖で涙を拭う。
それをしたのは、僕だった。
町田さんの瞳が、見開かれる。
「…うん。ありがとう。踏ん切りつけてなかった僕を、見つけてくれてありがとう」
その言葉で、町田さんの瞳からぼろぼろ涙が零れた。
…君が見つけてくれなかったら、きっと僕は前に進めなかった。
直球で、遠慮なんてなんにもないけど。
君の言葉は確かに、誤魔化し続けてた僕を、動かしたんだよ。
「…ありがとう。町田さんのおかげで、色葉とお別れできたよ」
うわぁぁあんと、僕に抱きついて泣きじゃくる。
ありがとう。
僕の代わりに、色葉に想いを伝えてくれた。



