町田さんは依然不機嫌な顔をしながらも、僕を真剣な瞳で見つめていた。
「…毎週水曜日の、五限目のあとに」
そう言った彼女の声は、少しだけ震えていた。
「…すれ違ってた、でしょう?それで一瞬だけ、目が、合うの」
…僕は、目を見開く。
偶然だと、思ってた。
僕だけが意識していたと、思っていた。
町田さんは制服のスカートをぎゅっと握りしめて、唇を動かす。
「…そのときの、先輩の目が、すごく切なそうだったから。気になって気になって、そのうちに好きになってたんです」
……ほんと、どこまで。
どこまで僕を、驚かせるんだ。
「どうして一年のあたしにそんな目をするんだって、思って。一度だけ、先輩のクラスに行ったことがあるんです。それで、先輩と松本先輩を見て………」
…知っていたんだ。
彼女は、僕と保健室で話をするあの時より、前から。
僕のことも、色葉のことも。



