眠り姫はひだまりで【番外編】



『……ハイ』

そんな声と共に繋がった向こう側からは、何故か軽やかな音楽が聞こえた。

「もしもし!今どこ?家!?」

『美容院』

「はっ!?」

『美容院です、先輩』

美容院?

疑問を抱きながらも、とりあえず僕はここからいちばん近い美容院に向かって、走り始めた。

心なしか低い彼女の声に、内心苦笑いが浮かぶのだけれど。

「…なんで美容院?髪切ったの?」

『切りました。もうお店出ます』

「ええっ…どっ、どこの!?」

『駅前のです』

駅前って…あそこか!

僕は方向転換して、途中の角を曲がった。

ここからいちばん近いとこではないけど、駅前にひとつ美容院があったのを覚えてる。

「いっ…今から、行くから!その辺にいてよ!?」

『…え、なんで!?』

「いいから、いて!」

ブチっと、無理矢理通話を切った。

ああもう、なんで美容院?

彼女の家だったら、前に送ったことがあるから覚えてるし、学校から割と近かったのに。

僕は息を切らしながら、駅前へと走った。





「………なんの御用ですか」


なんでそんな、冷ややかな目をしてるんだ…


そう言おうとしたけど、僕の肺が酸素を欲しがっているから、喋ることができない。

…てゆーか、てゆーか、さぁ。