眠り姫はひだまりで【番外編】





…だんだんと、喉の奥が痛くなってくる。

最近、涙腺弱すぎだ、僕。

ぎゅう、と手のひらを握りしめた。

…僕の変化を受け止められなかったときがあったと、色葉は言った。

けど…もう色葉は、今の『僕』を、受け入れたんだ。

いつまでもしがみついてちゃ、いけない。


大切な大切な、彼女。

思い出のなかで、愛しく笑う、彼女。

…ちゃんと見ろよ、僕。


『今』の色葉を、しっかりと。



「…色葉」

声が、震える。

きっと今僕は、情けない顔をしているだろう。

それでも、色葉から目は逸らさなかった。

静かに僕を見つめる彼女の瞳は、やっぱりあの頃とは少し違うけれど。

それでも、僕は受け入れなきゃいけない。


…でも最後にひとつだけ、『あの子』の気持ちを、聞かせて。


「……あの頃…僕のこと、どう思ってた……?」


色葉は少しだけ、その目を大きくして。

そして、笑った。

少しだけ、その瞳に涙を浮かべて。

僕の記憶のなかの、『あの子』の笑みで、無邪気に。



「………大好き、だよ」



……もう、充分だ。

その言葉だけでもう、充分だ。

『だった』と言わないのは、きっと今の彼女なりのメッセージ。