たくさんの想いがつまったその記憶は、抱えきれないくらいの重量で。
厳重に鍵までかけて、他人からの介入を拒んでいた。
…僕と色葉だけの、ものだから。
「けど私、怒ってないよ。その子も、大和のことを大切に思ってるから、私のところに来たんだよね」
「……ごめん、色葉」
色葉にとっては、はた迷惑な話だろう。
彼女にとっては、とっくに終わったはずの恋心なんだ。
せっかく純と上手くいってるのに、今更僕のことを持ち出されても、迷惑なだけ。
…でも色葉が、なんにも言わないから。
「…やっぱりあの子、大和の知り合い?」
「……うん」
「…そっかあ」
それ以上は何も言わずに、優しく笑うだけ。
色葉の小さな手がシャーペンを動かすのを見つめながら、僕は思い切って「…どう、思った?」と、訊いてみた。
「え?」
「…その子を見て、色葉はどう思った…?」
似てる、って、思っただろ。
なんで、って、思っただろ。
色葉は少しの間黙っていたけれど、やがて「…そーだねえ」と、口を開いた。



