「…あのね。今日の昼休み、一年生の女の子が、教室に来たの」
しっとりとしていて柔らかな、色葉の声が耳に響く。
僕は小さく、目を見開いた。
…まさか。
「『松本先輩いますか』って、すっごく大きな声でね。ちょっと目が赤くって、泣いた後だったのかなぁ。なんか怒ってて」
シャーペンを走らせながら、色葉は穏やかにそのときのことを話す。
…たぶん、いや、絶対、町田さんだ。
予想外な彼女の行動に驚きながらも、僕は目を閉じて色葉の言葉を聞いた。
…泣いてた原因は…考えなくても、わかる。
「『私です』って言ったら、その子すごくびっくりしてて。それで、『なんなんですかぁ〜』って、泣き出しちゃって」
…驚いた、だろうな。
自分とそっくりな、色葉を見て。
子供のように泣きじゃくる町田さんが、頭に浮かんだ。



