眠り姫はひだまりで【番外編】



「これ、クラス全員のメッセージが入ってます!」


はい、と差し出す。

涙ぐんだ先生が、それを受け取った。

「はは!せんせー泣いてんじゃーん!」

男子が面白そうに笑って。

「っな、泣いとらん!」

先生がハンカチでごしごしと目元をこする。

最後に、先生が震える声で「ありがとうなぁ、みんな」と言うのを、クラス全員が笑顔で聞いたのだった。





そんなホームルームも終わり、放課後。

帰るのが惜しいクラスメイト達が、お喋りを満喫している。


「理紗、このあとどうする?」


鞄をもったさゆりが、私に問いかける。

私はぼうっと、教室を見渡していた。

…もう、一年生も終わりかぁ…


そんなしんみりした余韻に浸る暇もなく、私の視界にはやはり彼の姿がちらついた。


…多分、もう話せない。

盗み聞きした情報だけれど、彼は文系に進むらしい。

私は、理系だから。


…クラス、離れちゃったら、ホントに、もう話せないね。