「これ、クラス全員のメッセージが入ってます!」
はい、と差し出す。
涙ぐんだ先生が、それを受け取った。
「はは!せんせー泣いてんじゃーん!」
男子が面白そうに笑って。
「っな、泣いとらん!」
先生がハンカチでごしごしと目元をこする。
最後に、先生が震える声で「ありがとうなぁ、みんな」と言うのを、クラス全員が笑顔で聞いたのだった。
*
そんなホームルームも終わり、放課後。
帰るのが惜しいクラスメイト達が、お喋りを満喫している。
「理紗、このあとどうする?」
鞄をもったさゆりが、私に問いかける。
私はぼうっと、教室を見渡していた。
…もう、一年生も終わりかぁ…
そんなしんみりした余韻に浸る暇もなく、私の視界にはやはり彼の姿がちらついた。
…多分、もう話せない。
盗み聞きした情報だけれど、彼は文系に進むらしい。
私は、理系だから。
…クラス、離れちゃったら、ホントに、もう話せないね。



