「…ん、おはよ」
…そしてすぐに前を向いた彼の背中を、私はただ呆然と見つめているだけだった。
*
…私、何か悪いこと、したかな。
ううん、土日の間はなんにもなかったし。
思い当たることが、なんにもない。
…のに。
「…じゃあ、なんで三日も避けられ続けてんの」
春休みの前日、終業式の日。
朝からポッキーを食べているさゆりは、退屈そうに携帯を触りながら、そう言った。
「……そんなの、わかるわけないでしょ………」
私は、ほぼ屍状態。
だってさゆりの言う通り、この三日間、一度も葉と話してないんだもん。
目が合うと、ゆっくりと逸らされる。
話しかけると、気まずそうな目をされる。
…何より、笑いかけてくれない。



