「…そんなこと、な……」
ちょっとむっとして、否定しようとしたら、後ろからカタ、と音がした。
「…あ、葉!」
…えっ。
振り返ると、私の真後ろに葉がいた。
何故か驚いたような顔で、私と男子を見ている。
「葉、おはよ」
男子達が声を掛けると、葉はハッと我に返ったような顔をした。
「…あ、ああ、うん。おはよ!」
…どう、したんだろう。
不思議に思いながらも、私はいつも通り男子達と歩き出した彼を呼んだ。
「おはよう!」
さっき男子たちと話せたからか、ちょっと気分が明るくなる。
けれど、振り返った彼の表情は、笑っていなかった。
…困ったように、その眉を下げて。
気まずそうに、私から目を逸らす。



