「そーだなぁ、遊ばないとな」
「ね、早く行こー!」
子供達に手を引かれ、葉は滑り台のほうへ戻って行く。
その後ろ姿を見ていると、葉はこっちを振り返って、にっと笑った。
「描いてくれて、ありがと!」
…そんなの。
こちらこそ、だよ。
描かせてくれて、ありがとう。
ずっと憧れていた、明るく笑う君を、描かせてくれてありがとう。
…君が作り出す人の輪のなかに、私が少しでも入れたこと。
それが、たまらなく嬉しいんだよ。
君が、笑ってくれるなら。
みんな、笑う。
…私も、笑う。
「…こちらこそ!」
筆を持つ手を上げると、私は精一杯笑った。
葉はやっぱり、明るく笑い返してくれた。
*
「…ってことで、みんな。これにメッセージ書いて下さい!」
その次の、金曜日。
終業式が、来週の水曜日まで迫ってきたころ。
教壇に立った葉は、小川先生の似顔絵が描かれた色紙を、みんなに見せた。



