「ちょっと待ってな」
なんだろうと思っていると、数分後に下から騒がしい大声が聞こえた。
驚いて、ベランダから中庭を見下ろす。
「やっほー小川先生ー!」
「なんで空見上げてんですか〜」
…日野くんたちだ。
私達がいる校舎側で、先生に話しかけている。
先生は迷惑そうに、日野くんたちに言葉を返していた。
「シャッターチャーンス」
にっと笑った葉が、驚く私にそう言った。
どきどきと、心臓が鳴る。
先生が日野くんたちと喋っているこの角度なら、気づかれずに正面を撮れる。
しかも、ちょっと笑顔の先生を。
「……ありがたいね」
ふふっと笑うと、葉は満足そうに笑う。
…カシャ。
私は、小川先生のいちばんの笑顔を撮った。



