私は苦笑いしながら、乾いた笑みを零した。
「…いやー、ハハ。せっ、先生、今日も一段と凛々しいお顔だなあって…」
「ぶふっ…」
そう笑ったのは、葉。
それにつられて、みんなも笑い出した。
やらかしたかなぁと内心思って、先生の顔を恐る恐る見る。
しかし先生は、何故か得意げに「そうか」と言った。
「長野は、口が上手いなぁ。けど、今は授業に集中しなさい」
「………はぁーい…」
…隠し撮りでも、しようかな?
未だにくすくす笑っている人もいて、恥ずかしい。
そのなかで、葉がこっちを見てニヤニヤしているのに気づいた。
むっとして、口パクで『ばかっ』と伝える。
葉は面白そうに笑いながら、『ばーか』と口パクで返してきた。
…ちょっとムカつくけど、ドキドキしてる心臓も事実で。
…なんだかなぁ、もう。
普段目立たないはずの、私なんだけどなぁ。
それから授業が終わって、先生が教室を出た途端、みんなが笑い始めた。
「あはは!先生、めっちゃ嬉しそうだったよなぁ」
「超面白かった」
かー、と顔が熱くなる。
さゆりも、私の席まで来て面白そうに笑っていた。



