…私は彼の背中を、静かに見据えて。
その足を一歩、踏み出した。
*
次の日、私は葉にまだ真っ白な色紙をもらった。
…この中心に、私の似顔絵が入るんだよね。
そう思うと緊張して、色々と不安になってくる。
…でも、頑張らないと!
葉に色紙をもらって自分の席に戻ると、さゆりが不思議そうな顔をして私を見ていた。
「どしたの?それ」
「…小川先生の、色紙。みんなでメッセージ書くんだって。その前に、私が似顔絵描くことになったの」
さゆりが、本当にびっくりって顔をする。
「…葉と、なんかあったの?」
「…うん。日曜日、ちょっとね」
「まじで!?やったじゃん!」
よかったねーっと抱きしめてくるさゆりに、素直に笑った。
なんかもう、私も信じられないけど。
今朝は葉が『おはよう』って言ってくれたんだ。
すっごく嬉しかった。



