葉が、私の絵を見つめながら、「なぁ」と言った。
「長野さんさ、似顔絵って描ける?」
…似顔絵?
「…中学の時は、友達の似顔絵とか、結構描いてた…けど」
「まじで!?」
絵から顔を上げた葉の瞳が、ぱぁっと輝いた。
えっ、なになに。
「じゃあさ、担任の似顔絵描いて欲しいんだけど!」
担、任?
「…小川先生?」
うちのクラスの担任、小川先生。
無愛想で怒ると怖い、色葉をいじるのが趣味ではないかと噂されている男性教師だ。
「そう!もう一年も終わるじゃん?先生今年度で離任するって話聞いてさ、みんなで色紙作ろうと思ってんの!」
私は、目を見開いた。
…すごい、さすが、クラスの人気者。
もうそんなこと、考えてるんだ…



