やがて葉は、さっきまで描いていた途中の絵を見て、「おー!」と大袈裟なほど感嘆してくれた。
「ここじゃん!まんまじゃん!すごっ!」
目の前の景色と絵を見比べて、目を輝かせる。
両手で顔を覆うことでアオバの攻撃を防ぐ(手は舐められまくり)ことに成功した私は、「…も〜」と唸るように声を上げた。
「…葉、ひどい…」
「上手いんだし、別に見られてもよくね?あ、結構まじで見られたくなかった?」
「………そうじゃ、ないけど…」
これでも一応、中学の時は美術展に入賞してたりしたし。
人に絵を見られるのは、もう慣れてるけど。
相手が葉だから、こんなに恥ずかしいんだよ。
「長野さんて、美術部だっけ?」
そんなに見るほどのもんでもないだろうに、葉は過去の絵を何度も見返す。
やっと舐めるのをやめてくれたアオバを撫でながら、私は「ううん」と返事をした。



