「……きゃあっ」
ふさふさの芝生と、ふさふさの柴犬の毛に挟まれた。
ペロペロとアオバに頬を舐められる。
「…やっ、ちょ、やめ、くすぐったい〜っ」
すると、葉がけらけらと笑って私の顔を見下ろしてきた。
なっ、何が『行け!アオバー!』だー!
葉は面白そうに笑いながら、無防備になっている私の片手からすっとスケッチブックを奪う。
「あーっ!」
「スケッチブック、ゲットだぜー」
ゲットだぜーじゃなーい!
「もっ、葉、ずるいっ…あ、ちょ、やめっ、ペロペロするのやめてっ…」
ぱらぱらとスケッチブックをめくり始めた葉に手を伸ばすけれど、アオバが邪魔をしてくるからなす術もない。
「おー、すげえ!上手い!」
高校生になってから、暇な時間に描き溜めてきた風景たち。
褒められて嬉しいような恥ずかしいようなで、顔が熱くなってきた。



