驚いたようにこっちを見てくる葉に、私は慌てて「えっと」と言った。
「…この子、葉のワンちゃん?」
ご主人様の到着に、嬉しそうにしっぽを降り続けている柴犬を指差す。
葉は「うん」と笑って、ワンちゃんにおいでと言った。
「ごめん、いきなり走り出しちゃってさ。まさか、長野さんがいると思わなかったけど」
…確か、『アオバ』って言ってた。
どきどきとしながら、葉に頭を撫でられているワンちゃんを見る。
葉、犬飼ってたんだ。
「…お散歩中、だったの?」
「うん。よくこの辺通るんだ」
…神様、ありがとう。
こんな、素敵な奇跡を私に与えてくれて…!
「長野さんは、なにして……あ、それスケッチブック?」
いつの間にか私の前に座って柴犬と戯れ始めた葉は、私が持っているスケッチブックを指差した。
思わずどきりとして、コクコクと首を縦に振る。
…私、今、葉と話をしてる。
しかも、私服姿の葉(with柴犬)と…!!



