次の日、気になってそこに行くと彼女はいなかった。
当然だろう。
でももう一度あの美しい彼女に会いたいと思った。
来る日も来る日も俺はその場所を通り彼女が居ないかを確認した。

―――夏が過ぎ、雪がちらつく季節になったある日。
俺は彼女を見つけたんだ。
その時は、あまり覚えていないが俺は咄嗟に走っていた。
彼女は夏の日にみた姿と変わらずすらっとした体系で黒のタンクトップに黒のズボン。間違えなく彼女だと思った。
「君っ!!」
彼女の腕を引っ張り顔を確認した。
思わず絶句した。
彼女の目は………
左右の眼の色が違っており、右目は青、左目は赤、回りは黄緑の美しい瞳だった。
俺は、一瞬で心を打ち抜かれた。
「何だ……お前」
彼女の腕は白く細く…とにかくなめらかな肌触りだった。
「俺は、綺羅…君は?」
思わず動揺し自己紹介をしてしまった。
「私は名前はない…お前、この前私にこれを貸した奴か?」
渡されたのは紺色の傘。
あの夏の日に彼女に貸した傘だった。
「…それよりお腹が空いたんだ、この体は随分と不便だ」
「お、俺がご馳走する!!」
「…ご馳走?」
「うん!俺が食べ物奢ってあげる」
「?」

これが俺とレインの不思議な出逢いだった。