線香の煙が風にさらわれていく。 『春くん。』 返事はない。 『ずっと来なくてごめんなさい』 彼のお墓は冷たい。 『この間、人に言われたの。』 後悔は募る。 『春くん、』 “百合亜” ハっとして空を見上げる。 風に混じって彼の声が聞こえた。