少女は、ひたすら上を目指していた。

 この螺旋階段を登り始めてから、もう半日ほど過ぎたような気分だった。円筒型でいつまでも続く塔の壁は古くずっしりと重い書物で埋め尽くされていて、そこへ寄り添うように滑らかな曲線を描いて螺旋階段は天まで伸びている。

 最初、戻ろうかとも考えた。しかし、戻ってしまってはまた初めからだ。もしかすると、あと少しかも知れない──全く終わりの見えない階段の先を見つめながら、少女は気力にものを言わせて登っていく。