ならば、それならばあたしは。 最後まで彼を、そんな彼を愛さなくては。 『傷ついてない。』 「安心して、と?」 『そう。』 今度はあたしの髪をさらりと撫でながら、ふうと安心した顔をする。 きっと彼は安心はしてない。 彼はあたしの全てを見透かしている。 あたしが何を思っているかわかってる。 彼は頭のいい男だ。 自分がどうすればあたしを救えるのかも知っている。 けれども彼はそれ以上に空気の読める男だ。 だから何も言わない。