なんで、と聞いたことがある。 “なんであたしを愛そうと思ったの”と。 “君が死ぬのはもったいないから” 嬉しかった。 “こんなに美しい人は死んでは行けないと思ったから” 嬉しかった。 彼に愛されることは、あたしが自分を愛することと同じだった。 あたしはきっと彼に手放されるべきではなかった。 けれどもこれでよかった。