「お、お客様。当店ではカメラのご撮影は…」
「あ、すまない。不快な思いをさせたな」
「い、いえ…ではごゆっくり…」
レインは持っていた小型カメラをパーカーのポケットにしまう。
監視を初めて一日目。
あまり展開はないが一日に会う回数は多い。
朝、出勤する前に駅前のカフェによりそこで雑談。
今はお昼休みらしい、先程と同じカフェで一服。
はたから見れば仲の良いカップル。
「私も疲れた」
レインは二人から三席ほど離れた席に座っていた。
相手は存在にすら気づいていない。
レインはゆっくりオレンジジュースを啜る。
「ねぇ、あのお客さん怪しくない?」
「だよね…フード深くかぶっちゃって…強盗でもする気かしら」
店員の疑惑の声がレインの耳に入る。
レインはそっと席を立ち、レジにお金を置いて店をでた。
一日目だ。
大体スケジュールが把握できただけで上出来な方だろう。
レインは事務所に足を運んだ。