「強姦事件の犯人と言ったら男だな」
「沙羅~、私お腹すきましたぁ」
「そういえばセシルにご飯挙げてなかったね」
「うん」
「じゃあ、いつものアレ」
「うん、分かった」

沙羅の合図とともにセシルが床に四つん這いになった。

「沙羅様、私のようなけがらわしいイヌにどうか恵みのご飯を」
「分かったぁ。やっぱりセシルは可愛いね」
「ありがとう」

何事もなかったようにセシルは立ち上がると手を差し出す。

「えらいえらい、僕の誠実なイヌ」
「うん」

手のひらいっぱいのお菓子をもらうと満足そうに姿を消した。

「さ、沙羅…には意外な趣味があったんだね」
「うん、兄さんの知らない所で僕随分とドSになっちゃったんだ」
「へ、へぇ~…」
「セシルには旅館内を散策しにいってもらってるから」
「あ、ありがとうございます」
「そのうちレインさんも僕の誠実なイヌに加えたい」
「お前ら兄弟そろって変態だな」

レインは呆れたかのように溜息を洩らす。

「私はそれぞれの聞き込みに回る。お前等変態兄弟は侵入経路を探れ」
「「了解」」