「レイン」
「何」
「ごめんね、兄弟喧嘩に巻き込んで」
「兄弟喧嘩の理由は?」
「…っ」
「だんまりか」
「言えないんだ、レインには…っ」
「そう、いいたくないなら私は干渉しない。」
「ありがとう、恩に着るよ」
「じゃあ私お風呂入ってくる」
「いってらっしゃい…」
綺羅の笑顔は少し歪んでいた。
笑顔というより苦笑い。
無理に笑っているのが一目瞭然だった。
でも、あえてレインは追求しなかった。
誰にだって干渉してほしくない事は一つや三つあるはず
それを察したのだ。
あんなに暗い顔の綺羅を見たことがない。
露天風呂には誰もいなかった。
つまり、レインの貸し切り状態だったのだ。
「ふぅっ…気持ちい」
ゆっくり湯につかりながら今日起きた出来事を振り返る。
「沙羅がお騒がせしました」
「!?」
いつの間にか後ろには見知らぬ女の子が居た。
いつからそこに!?
「すみません、私沙羅の使い魔のセシルと申します」
「使い魔?」
「沙羅と綺羅様の家は代々悪魔狩りの家なのです。私は悪魔や死神から沙羅を守る使い魔なのです」
「悪魔狩り…っ」
「沙羅の失態は私の失態ですっ…」
「い、いい!!いい!!沙羅も諦めて帰ったから」
「では私も」
「ちょっと!服!服!着なさいよっ!」
「使い魔如きに洋服など必要ありません」