「なーにしてるの?沙羅クン」
「に、兄さん!」
「お宅の部屋が騒がしいって女将さんに言われたから着てみれば…」
「綺羅?」
「あーあ、沙羅クン来るなら事前連絡でもしてくれないかな?そうしないと…ちゃんとしばけねぇだろぉが…クソ野郎」
優しい綺羅なんて微塵も残っていなかった。
満面の笑みで沙羅を見つめていた。
「兄さんそんなに怒らないでよ、僕はふざけてて…」
「テメェッ…俺をなめてんのか?ふざけてただぁ?レインに触れた奴は生きては帰れないからね、さ~ら~クン♪」
「ひぃっ」
「やめろ!綺羅!!」
「レインは下がってて…」
「やめろ!私は何もされてはいない!むしろ私がコイツをひざ蹴りしたんだ!」
「え?」
「だから全部私が悪い!殴るなら、私を殴れ!」
レインは跪き綺羅に頭を下げた。
「れ、レイン…っ」
「この通りだ!早く殴れ!」
「……む、無理だよ!愛おしいレインを殴るなんて、俺には…っ」
大粒の涙を流し綺羅は泣き崩れた。